白癬菌が爪の中に侵入して発症する爪水虫ですが、それとよく似た症状を持つ「爪乾癬」(つめかんせん)という疾患もあります。
爪水虫に爪乾癬の治療をしてもまったく意味がありませんし、爪乾癬に爪水虫の治療をしてもまったく意味がありません。
今回は爪水虫と爪乾癬の違いと、その治療法について紹介します。
爪水虫と爪乾癬の発症原因の違い
爪水虫は白癬菌が爪の中にまで感染することで発症しますが、爪乾癬は感染症の一種ではなく、何らかの細菌や真菌が原因ではありません。
実は乾癬の発症原因は未だに明らかにされていません。
遺伝的な要素に加え、免疫機能のトラブル、ストレスや生活習慣、食生活などが関係していると考えられています。
爪水虫は他人から白癬菌を移されることで発症します。その感染源も、プールや温泉施設での感染はほぼなく、ほとんどが家族間であることが知られています。
ですが、爪乾癬は他人から感染することはありませんし、自分の爪乾癬が他人に感染する心配もありません。
免疫機能のトラブルが原因なので、どちらかというとアレルギー症状に近いイメージですね。
花粉症や食物アレルギーが他人に遺伝しないのと同じです。
子どもに「乾癬になりやすい体質」が遺伝する可能性はありますが、必ずしも乾癬が発症するとは限りません。
爪水虫と爪乾癬の症状の違い
爪水虫も爪乾癬も、どちらも爪の見た目が汚くなるのが特徴
- 爪の表面が白濁する。
- 爪の表面がデコボコになる。
- 爪が剥離する
- 爪がボロボロになる
- 爪が分厚くなる
その症状もとても似ています。
白癬患者さんの2~4割に爪の病変がみられます
参照元:乾癬ネット
爪水虫になった足の指
爪水虫も爪乾癬も前提条件が違うので、そちらがヒントになるかもしれません。
爪水虫は必ず足の裏の水虫と併発して発症します。水虫→爪水虫という順番で発症するので、「爪水虫だけど水虫ではない」なんてことはありえません。
爪乾癬も基本的に皮膚の乾癬を発症した方の2~4割に爪乾癬が発症します。
ですが爪の見た目で決めつけるのは危険です。
安易に自己判断するのではなく、皮膚科に受診して調べてもらうのが大切です。
爪乾癬を改善する方法
爪水虫も爪乾癬も、治したいのなら皮膚科を受診する必要があるでしょう。
どちらも内服薬や外用薬など、その人の体質や症状に合わせた治療を行います。
爪水虫の方は爪の奥に潜む白癬菌を死滅させるために「抗真菌薬」を使います。
内服薬は体内から血液を通して有効成分を患部に届け、爪内部の白癬菌を退治します。
外用薬は硬い爪の奥に浸透するように作られた爪水虫専用の塗り薬を使用します。
どちらを使うかは患者の症状や体質によって変わってきます。
乾癬の塗り薬として多く使われるのは、ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬がありますが、爪乾癬ではほとんど効果は期待できません。
爪乾癬の治療には基本的に内服薬が有効。「ビタミンA誘導体」や「免疫抑制薬」などが使われます。
爪乾癬の治療についても医師の指導の下に、正しく行いましょう。
病院を受診するのも大切ですが、同時に生活習慣を改善することも改善に有効です。
爪水虫を改善する生活習慣
- 常に足を清潔に保つ
- 白癬菌が付着している可能性もあるので部屋の床の掃除をこまめにする
- 足を乾燥させた状態に保つ
白癬菌は湿った環境を好みます。日常生活でも白癬菌が嫌う環境を整えるのが大切です。
爪乾癬を改善する生活習慣
- ストレスを溜めない
- 栄養バランスのとれた食事をする
- 睡眠時間を多くとる
- 適度な運動を心がける
- 日光を多く浴びる
免疫機能の整えるには規則正しい生活が有効です。健康的な生活を送れば、心身ともに強い身体を作ることができるでしょう。
爪水虫と爪乾癬の違いまとめ
爪水虫 | 爪乾癬 | |
発症原因 | 白癬菌 | 免疫機能の異常やストレス |
人に感染する? | 感染の危険アリ | 絶対に他人に移らない |
症状 | 爪が分厚くなったり変色する | 爪が分厚くなったり変色する |
治療法 | 内服薬や外用薬で治療 | 内服薬や外用薬で治療 |
爪水虫も爪白癬も、正しく治療すれば治ります。
まずは皮膚科を受診して、自分の症状や治療法について医師に相談してみるのが大切ですね。